症例報告
虫垂内分泌細胞癌の1手術例
阪本 研一, 福地 貴彦*, 二村 直樹*, 下川 邦泰**
町立木曽川病院外科, 岐阜大学第1外科, *, 同 臨床検査医学**
われわれは虫垂切除後に再発を来した虫垂内分泌細胞癌の1例を経験したので報告する.症例は6年前に虫垂切除術を施行され虫垂中央部に限局する虫垂カルチノイドと診断された65歳の男性で,今回,右下腹部痛,悪心・嘔吐にて受診した.虫垂カルチノイドの再発もしくは小腸腫瘍を疑い手術を施行した.腫瘍は粘膜下層を中心に上行結腸,盲腸,終末回腸に浸潤し,高度な細胞・構造異型を示し,Grimelius染色陽性であり虫垂内分泌細胞癌と診断した.また,前回虫垂切除時の標本を再検討した結果,内分泌細胞癌の再発例であると判断した.虫垂カルチノイドの診断治療においては予後不良な腫瘍群の存在を念頭におくことが重要であると考えられた.
索引用語
endocrine cell carcinoma of appendix, carcinoid
日消外会誌 30: 2302-2306, 1997
別刷請求先
阪本 研一 〒500 岐阜市司町40 岐阜大学医学部第1外科
受理年月日
1997年9月9日
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