症例報告
上行結腸原発扁平上皮癌の1例
目黒 英二, 玉澤 佳之, 木村 祐輔, 川村 英伸, 小芝 章剛, 金森 裕
函館五稜郭病院外科
大腸原発の悪性腫瘍は肛門,直腸下部を除くとほとんどが腺癌であり,扁平上皮成分を有する腫瘍はまれである.上行結腸に原発した扁平上皮癌を経験したので報告する.
症例は60歳の男性で,腹痛を主訴とし,精査にて肝転移を伴う上行結腸腫瘍と診断,姑息的結腸右半切除術を施行した.病理組織診断では腺管形成を認めず,低分化扁平上皮癌であった.結腸原発の腺癌成分を含まない扁平上皮癌はSchmidtmann(1919)の報告以来,検索しえた限り40例にすぎない.結腸癌における扁平上皮癌は腺癌に比べて予後不良であり,有効な治療法がないのが現状である.
索引用語
squamous cell carcinoma, colonic carcinoma
日消外会誌 30: 2312-2316, 1997
別刷請求先
目黒 英二 〒040 函館市五稜郭町38-3 函館五稜郭病院外科
受理年月日
1997年9月9日
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