臨床経験
Thermal ablation of the gallbladder 3例の経験
布施 明, 平井 一郎*, 久津 裕, 石山 秀一, 浦山 雅弘, 五十嵐 幸夫, 塚本 長
山形大学第1外科, 東海記念病院外科*
沸騰した造影剤による胆嚢のthermal ablationを3例に施行した.2例は切除不能の悪性腫瘍,1例は全身状態不良のために手術適応とならなかった症例である.これらの症例は今後の胆嚢炎を予防するため,および,胆嚢外瘻チューブの抜去を希望したためにthermal abladonを施行した.胆嚢内に挿入したチューブ周囲の局所麻酔と胆嚢粘膜の表面麻酔を行った後,チューブより沸騰した造影剤を注入した.造影剤の注入時間は30秒~2分間で,これを1~2回行った.1例はさらに時間をおいてthermal ablationを追加した.3例ともthermal ablationによる強い疼痛や合併症は認められなかった.3例中2例は胆嚢外瘻チューブの抜去が可能となり,1例は胆嚢の完全な萎縮が得られた.沸騰した造影剤によるthermal ablationは,簡便で安全かつ有効であり,症例を選んで行えば手術にかわる治療法になると思われた.
索引用語
cholecystitis, gallbladder, thermal ablation
日消外会誌 30: 2327-2331, 1997
別刷請求先
布施 明 〒990-23 山形市飯田西2-2-2 山形大学医学部第1外科学教室
受理年月日
1997年7月2日
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