原著
胃悪性リンパ腫の治療方針
紀藤 毅, 小寺 泰弘, 山村 義孝, 清水 泰博, 鳥井 彰人, 平井 孝, 安井 健三, 森本 剛史, 加藤 知行
愛知県がんセンター消化器外科
過去31年間に経験した胃悪性リンパ腫は119例であり,これらを手術単独群,集学的治療群,非手術群に分けた.手術単独群は,早期群,進行群,MALTリンパ腫群に亜分類した.全例に対し,D2リンパ節郭清を原則とした.早期群10例のうち1例にリンパ節転移がみられたが,全例5年以上生存した.進行群のなかで治癒切除25例のリンパ節転移率は72.0%,全摘が7例,5生率は75.0%であった.MALTリンパ腫36例のリンパ節転移率44.4%,全摘が28例,5生率は91.6%であった.手術のみでは治癒し難いと考えられた集学的治療26例の5生率は64.0%であった.非手術群8例のうち1例が化学療法のみで6年生存した.胃悪性リンパ腫に対して適切な手術,症例を選んだ合併療法によって,優れた治療成績が得られると考えられた.
索引用語
gastric lymphoma, treatment strategy of gastric lymphoma, lymph node metastasis of gastric lymphoma, mucosa-associated lymphoid tissue lymphoma, multidisciplinary treatment of gastric lymphoma
別刷請求先
紀藤 毅 〒464 名古屋市千種区鹿子殿1-1 愛知県がんセンター消化器外科
受理年月日
1997年9月9日
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