原著
胃癌の腫瘍マーカーとしての血清IAP値の意義―血清CEA値との比較―
梶原 啓司, 石川 啓, 中村 譲, 窪田 芙佐雄, 南 寛行, 西田 卓弘, 糸柳 則昭, 赤間 史隆, 成松 政治
佐世保市立総合病院外科
胃癌切除症例360例について,血清Immunosuppresive acidic protein(IAP)値の臨床的意義について,血清carcinoembryonic antigen(CEA)値と比較検討した.(1)全体の陽性率はIAP 18.6%,CEA 14.7%で,早期胃癌を除く174例ではIAP 30.5%,CEA 19.0%であった.(2)stage分類,リンパ管侵襲,リンパ節転移,肝転移の各因子では,IAPとCEAの両者で相関を示した.(3)壁深達度,静脈侵襲に関しては,血清IAP値だけが相関を示し,血清CEA値では相関を認めなかった.(4)肝転移例の9例中8例がIAP陽性で,sensitivityは88.9%と血清CEA値の44.4%と比較して有意に高く(p<0.05),negative predictive valueも99.7%と高値を示した.
以上より,術前の血清IAP値は胃癌の進行度を評価する指標として,血清CEA値以上に有用な腫瘍マーカーと考えられた.
索引用語
serum IAP value, serum CEA value, tumor marker of gastric cancer
別刷請求先
梶原 啓司 〒805 北九州市八幡東区西本町4-18-1 北九州市立八幡病院外科
受理年月日
1997年10月1日
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