原著
大腸癌単発肝転移切除例の残肝再発に関する検討
井上 雄志, 鈴木 衛, 吉田 勝俊, 手塚 徹, 高崎 健
東京女子医科大学消化器外科
大腸癌単発肝転移切除40例を対象に残肝再発に関する検討を行った.残肝再発した14例と1年以上無再発であった11例との背景因子(転移巣:時期,最大径,選択術式,原発巣:組織型,リンパ節転移,静脈侵襲,リンパ管侵襲)には差はなかった.転移巣最大径と選択術式をみると,部分切除,区域切除,葉切除以上の順に平均最大径も大きく,転移巣最大径が大きくなると切除肝も大きくなる傾向を認めた.最大径が2 cm未満,2 cm以上5 cm未満,5 cm以上と3群での選択術式別の残肝再発率を検討したが差はなく,部分切除,区域切除,葉切除以上と3種類の術式が選択されている2 cm以上5 cm未満の症例でも,それぞれ症例数の少ない検討ではあるが,選択術式別の残肝再発率に差はなかった.以上より単発大腸癌肝転移の選択術式は,部分切除で切除可能な症例ならばとくに系統的切除にこだわる必要はないと考えられた.
索引用語
solitary liver metastases of colorectal cance, surgical resection, liver recurrence after hepatic resection
別刷請求先
井上 雄志 〒162 東京都新宿区河田町8-1 東京女子医科大学消化器病センター
受理年月日
1997年10月1日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|