原著
直腸癌に対するdouble stapling technique吻合部の再発と術中直腸内洗浄の意義に関する検討
河原 秀次郎, 平井 勝也, 青木 照明, 佐藤 慶一, 小野 雅史, 鈴木 俊雅
東京慈恵会医科大学外科(主任:青木照明教授)
著者らは,直腸癌低位前方切除術での吻合部再発は,手縫いなどの吻合術式に比べdouble stapling technique(DST)を用いた術式で有意に高いことを報告してきた.そこで,1992年から1994年に経験した症例を用い,DST施行時の吻合部再発防止目的で術前腸管内洗浄と術中直腸内洗浄の有用性を検討した.その結果,術前の微温湯による腸管内洗浄を十分に行うだけでも腸管内遊離癌細胞数を減少させ吻合部再発を11.8%から5.8%に減少させることが可能であった.しかし術中直腸内洗浄を併用した48症例では吻合部再発は1例もみられなかった.よって術後吻合部再発の防止に術前腸管内洗浄だけでは不十分であり,DSTを用いた直腸癌に対する手術では術中直腸内洗浄は必要不可欠な手技であると考えられた.
索引用語
anastomosis recurrence in rectal cancer, double stapling technique, intraluminal lavage of rectum, implantation of malignant cell
別刷請求先
河原秀次郎 〒105 東京都港区西新橋3-25-8 東京慈恵会医科大学外科
受理年月日
1997年10月1日
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