症例報告
腸重積症にて発見された膀胱癌の空腸転移の1例
目黒 英二, 玉澤 佳之, 木村 祐輔, 大塚 幸喜, 川村 英伸, 貝塚 広史, 金森 裕
函館五稜郭病院外科
空腸転移というまれな転移形式をとり腸重積を来した成人膀胱腫瘍の1例を経験した.
症例は67歳の女性.膀胱癌手術後2年経過,上腹部不快感および体重減少を主訴に来院.腹部超音波,腹部CT検査にて腸重積症を疑い,開腹手術を施行した.Treitz靭帯より約20 cm肛門側空腸に腫瘍を先進部とした空腸腸重積症を認め空腸部分切除術を施行した.また腹腔内精査ではリンパ節転移や肝転移,腹膜播種などはみられなかった.腫瘍は粘膜下層を中心に発育しており,病理組織学的には転移性腫瘍の特徴を有した移行上皮癌であり膀胱癌の転移と診断された.転移性小腸腫瘍による腸重積症はまれであり,原発巣としては肺癌,腎癌などにみられており予後不良である.
索引用語
intussusception, metastatic small intestianl tumor, bladder cancer
別刷請求先
目黒 英二 〒040 函館市五稜郭町38-3 函館五稜郭病院外科
受理年月日
1997年9月9日
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