症例報告
イレウスを呈した小腸嵌入型Chilaiditi症候群の1手術例
福良 清貴, 末永 博, 萩原 一行, 愛甲 孝*
川内済生会病院外科, 鹿児島大学第1外科*
消化管の一部が右横隔膜下と肝の間に嵌入した病態はChilaiditi症候群と呼ばれ,嵌入臓器のほとんどは結腸である.今回,我々は小腸が右横隔膜下に嵌入して絞扼されイレウスを呈した非常にまれな症例を手術前に診断し治療する経験を得た.症例は79歳の男性,腹痛を主訴に来院した.腹部X線単純撮影により右横隔膜下ガス像およびニボー像を認めChilaiditi症候群およびイレウスと診断した,イレウスチューブよりの造影から小腸が右横隔膜下に嵌入し絞扼されていたが,再発の可能性を考慮して手術を施行した.術前に嵌入臓器を同定し,恒久性か否かの確認をすることの必要性を強調するとともに,本症例を含めた小腸嵌入型Chilaiditi症候群本邦報告例15例について文献的考察を行った.
索引用語
Chilaiditi's syndrome, interposition of the small intestine between the diaphragm and liver, ileus
別刷請求先
福良 清貴 〒890 鹿児島市桜ケ丘8-35-1 鹿児島大学医学部外科学第1講座
受理年月日
1997年9月9日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|