症例報告
小腸myoepithelial hamartomaの1例
篠田 康夫1)2), 笹口 政利1)2), 山田 修司1), 本島 悌司1), 長町 幸雄2)
本島総合病院外科1), 群馬大学第1外科2)
小腸良性腫瘍の中でも特にまれなmyoepithelial hamartomaの1例を経験したので報告する.症例は70歳の男性.上腹部痛を主訴に来院した.同部に強い圧痛を認めたが,筋性防御は認めなかった.腹部CT検査で右上腹部に小腸壁のターゲット状肥厚を認め,腸重積症と診断し手術を施行した.手術所見では,トライツ鞘帯より80 cmの空腸が40 cmにわたり陥入して重積をきたしていた.用手的に整復した後,先進部に4.0×2.5×2.5 cmの腫瘤を触知したため,空腸部分切除術を施行した.病理組織学的には,内輪筋層内に平滑筋の増殖と混在した腺管の増生を認め,myoepithelial hamartomaと診断した.経過良好にて術後第21病日に退院した.成人の腸重積症に対しては小腸腫瘍を疑い,手術に踏み切るタイミングが重要である.
索引用語
myoepithelial hamartoma, small intestinal tumor, intussusception
別刷請求先
篠田 康夫 〒371 前橋市昭和町3-39-22 群馬大学医学部第1外科学教室
受理年月日
1997年9月9日
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