症例報告
腹腔内出血で発症した小腸gastrointestinal stromal tumorを併発したvon Recklinghausen病の1例
木花 鋭一, 栗栖 茂, 八田 健, 小山 隆司, 喜多 泰文, 梅木 雅彦, 柴田 正樹
兵庫県立淡路病院外科
症例は25歳の男性.主訴は下腹部痛,嘔吐.腹部を中心にcafé au lait spotsを多数認めた.血液検査で白血球,CRPの上昇を認め,腹部超音波,CT検査で骨盤内に直径約7 cmの腫瘤,腹水を認めた.何らかの炎症性腫瘤およびそれに関連した腹膜炎との診断で開腹術を行った.手術所見ではTreitz靭帯より約20 cm肛門側の空腸腸間膜対側に管外性に発育した暗赤色の腫瘤を認めた.腫瘤は線維性被膜で覆われていたが,一部が断裂し出血していた.組織学的には,長楕円型の核を有する紡錘形細胞が密に増殖,束状に配列し,少数の核分裂像が散見された.免疫組織化学染色ではS-100蛋白には部分的に陽性,neuron specific enolase(NSE)には強陽性を示し,gastrointestinal stromal tumor(neural type),low grade malignantと診断された.von Recklinghausen病には神経原性の悪性腫瘍が併発することが知られているが,消化管腫瘍の発生はまれである.さらにGIST(neural type)を生じた症例は検索しえた範囲では文献上報告がなかった.
索引用語
von Recklinghausen disease, GIST
別刷請求先
木花 鋭一 〒656 洲本市下加茂1-6-6 兵庫県立淡路病院外科
受理年月日
1997年9月9日
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