症例報告
Meckel憩室による絞扼性イレウスの1例
長 晴彦, 塩澤 学, 深野 史靖, 田村 功, 鈴木 紳一郎
藤沢湘南台病院外科
症例は66歳の男性.腹痛を主訴に近医を受診,ショックとなったため当院紹介受診.来院時腹部は著明に膨満しており,筋性防御を認めた.腹部CT,血液ガス所見より絞扼性イレウス,小腸壊死を疑い開腹術を施行した.術中所見では,頸部が長く頂部が嚢状を呈する憩室が回腸係蹄を結ぶように取り巻き絞扼していたため,回腸部分切除術を施行した.病理組織学検査で異所性胃粘膜は認めなかったが,憩室の発生部位よりMeckel憩室と診断した.Meckel憩室はさまざまな合併症を呈するが,今回の症例のように憩室に索状物や炎症を伴わずに,長い憩室自体が結び目をつくり,その中に小腸係蹄を絞扼するように取り巻いていた例は今回検索した範囲では本邦では本症例を含めて2列のみであり,極めてまれと考えられた.
索引用語
knot in Meckel's diverticulum, strangulated ileus, intestinal necrosis
別刷請求先
長 晴彦 〒252 藤沢市高倉2345 藤沢湘南台病院外科
受理年月日
1997年10月1日
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