症例報告
骨形成を認めた大腸未分化癌の1例
山田 良宏, 冨田 尚裕, 門田 卓士, 高橋 秀典, 森田 哲史, 八幡 暁直, 関本 貢嗣, 門田 守人
大阪大学医学部第2外科
悪性腫瘍に石灰化を伴うことはしばしば認められるが,明瞭な骨形成を認めることは極めてまれである.今回,我々は横行結腸未分化癌に骨形成を認めた症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.症例は63歳の男性,横行結腸癌,肝転移,腹腔内播種性転移に対して横行結腸部分切除術,大網切除術を施行した.病理組織学的には扁平上皮癌様,基底細胞癌様および絨毛癌様の部分が混在し,一部には骨形成を認めるなど様々な分化傾向を呈する大腸未分化癌であった.大腸の未分化癌は1%以下の頻度である.また直腸を除く結腸の悪性腫瘍に骨形成を伴うことは極めてまれであり,検索しえた範囲で現在まで約20例の報告しかない.腫瘍における骨形成の原因として種々の機序が考えられているが,本症例においては骨周囲に線維芽細胞から移行する骨芽細胞を認めることから線維芽細胞から骨芽細胞への化生によるものと考えられた.
索引用語
undifferentiated carcinoma of colon bone formation (ossification)
別刷請求先
山田 良宏 〒545 大阪市阿倍野区王子町2-12-4 山田医院
受理年月日
1997年9月9日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|