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第31巻 第3号 1998年3月 [目次] [全文 ( PDF 523KB)]
症例報告

胆嚢炎で発症した胆嚢原発平滑筋肉腫の1切除例

谷合 信彦, 江上 格, 岡崎 滋樹, 和田 雅世, 横室 茂樹, 吉岡 正智, 前田 昭太郎1), 細根 勝1), 恩田 昌彦2)

日本医科大学多摩永山病院外科, 同 病理1), 同 付属病院第1外科2)

 きわめてまれな疾患である胆嚢炎で発症した胆嚢原発の平滑筋肉腫の切除例を経験したので報告する.症例は67歳の女性.急性胆嚢炎の疑いで入院となった.腹部CT,超音波にて胆嚢は腫脹し,壁は著明に肥厚.ERCPにて総胆管に結石像を認めたが,胆嚢は描出されなかった.以上より胆嚢,総胆管結石と診断し,炎症症状消失後腹腔鏡下手術を施行した.胆嚢は著明に腫大し,胆嚢穿刺細胞診断にて悪性と診断した.開腹に転換し肝床部も含めた胆摘,総胆管切開採石術を行った.摘出標本の病理検査にて腫瘍組織は固有筋層より生じ,広範な変性,壊死組織の中に紡錘形の異形細胞の集団を認めた.酵素抗体法ではVimentin,α-SMA陽性を示し,胆嚢原発の平滑筋肉腫と診断された.術後1年再発は認めていない.胆石症合併胆嚢悪性腫瘍の術前診断は困難であることも多い.腹腔鏡下胆摘術中に悪性を疑われた場合,術中および術後に適切な判断が重要であると思われた.

索引用語
gallbladder, leiomyosarcoma

日消外会誌 31: 870-874, 1998

別刷請求先
谷合 信彦 〒206-0025 東京都多摩市永山1-7-1 日本医科大学多摩永山病院外科

受理年月日
1997年10月1日

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