原著
胃癌術前化学療法におけるP53依存性アポトーシス誘導経路の検討
長山 裕之, 河村 正敏, 草野 満夫
昭和大学医学部第2外科学教室
P53依存性アポトーシス誘導経路の中に化学療法の奏効度を予知する因子が存在するかどうかの検討を試みた.術前化学療法を施した胃癌30例(5'-DFUR経口投与群17例,CDDP静注群13例)に対し,P53,BaxおよびBcl-2の免疫組織染色を行った.化学療法の効果の指標には組織学的効果判定,Ki-67 Labeling lndexおよびLewis Y(Ley)陽性率を用いた.経口投与群,静注群のいずれでも化学療法後のLey陽性率は組織学的効果判定と有意な相関を認めた(p<0.05).静注群では,生検組織でのP53陽性群は組織学的効果判定,化学療法後Ley陽性率のいずれにおいても陰性群に比べて化学療法の効果が有意に低かった(p<0.05).経口投与群でも,生検組織でのP53陽性群は化学療法の効果が低い傾向であった.以上,生検組織でのP53免疫染色は術前化学療法の効果予測因子となりえることが臨床例において示唆された.
索引用語
neoadjuvant chemotherapy for gastric cancer, apoptosis, P53, Bax, Bcl-2
別刷請求先
長山 裕之 〒142-0064 東京都品川区旗ノ台1-5-8 昭和大学医学部第2外科
受理年月日
1998年1月14日
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