原著
胃癌手術時における腹腔内洗浄細胞診の意義に関する検討―Coxの比例ハザードモデルを用いた予後規定因子としての検討―
坂東 悦郎, 竹下 八洲男, 吉本 勝博, 湊屋 剛, 吉光 裕, 礒部 芳彰
国家公務員等共済組合連合会舞鶴共済病院外科
胃癌手術の開腹直後に腹腔内洗浄細胞診を施行した557例を対象とし,洗浄細胞診と臨床病理学的因子との関係および腹腔内洗浄細胞診の予後規定因子としての意義について検討した.洗浄細胞診陽性例は76例(13.6%)であった.深達度m,sm,mpでは,細胞診陽性例は無く,深達度ss,se,siの細胞診陽性率はそれぞれ,11.8%,29.8%,45.0%であった.また細胞診陽性P0症例の予後は,P1症例より有意に予後不良であった(p=0.017).また進行癌症例(n=288)において,Coxの比例ハザードモデルを用いた多変量解析の結果,腹腔内洗浄細胞診は,リンパ節転移および深達度(p<0.001)とともに独立した予後規定因子であった(p=0.012).また死亡例の再発形式を検討すると細胞診陽性例の腹膜再発率は有意に高率であった(p<0.001).以上より腹腔内洗浄細胞診は,胃癌の腹膜再発の予知因子として,また予後規定因子として重要な指標であることが示された.
索引用語
gastric cancer, peritoneal lavage cytology, peritoneal recurrence, prognostic factor of gastric cancer
別刷請求先
坂東 悦郎 〒920-0934 金沢市宝町13-1 金沢大学医学部第2外科
受理年月日
1997年12月3日
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