原著
徐放性5-Fu(5-Fluorouracil)製剤の門脈内血中濃度推移
佐藤 茂, 大谷 剛正, 比企 能樹, 柿田 章
北里大学外科
消化器癌の肝転移抑制を目的として徐放性5-Fu製剤を作製し,その血行動態を家兎にて検討した.in vitroの溶出試験では徐放性5-Fu製剤は5時間で60%の5-Fuが溶出した.現行の5-Fu製剤は5分以内に100%の溶出を認めた.この徐放性5-Fu製剤(以下,徐放群)と現行の5-Fu製剤(以下,control群)を家兎の十二指腸内に投与し門脈血,末梢血を経時的に採取しその徐放性を比較検討した.門脈内5-Fu濃度は投与6時間後徐放群はcontrol群に比べ有意に高値を示した.末梢血のCmaxは徐放群が有意に低値を示した.平均滞留時間(MRT)は徐放群がcontrol群に比べ有意に長かった.以上より本徐放性5-Fu製剤は,緩徐な溶出により門脈血中濃度を高濃度,長時間維持しかつ末梢濃度は低濃度に保つことが確認され門脈血中内をターゲットとする肝転移局所療法に有用であると考えられる.
索引用語
sustained release preparation, 5-Fu(5-Fluorouracil), intraportal concentration, chemotherapy
別刷請求先
佐藤 茂 〒228-0001 座間市相模ヶ丘6-24-28 相模台病院外科
受理年月日
1997年12月3日
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