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第31巻 第4号 1998年4月 [目次] [全文 ( PDF 445KB)]
症例報告

頸部鈍的外傷による気管食道瘻の1例

保里 惠一, 舩橋 克明, 角田 直樹, 松本 一明, 田邉 克彦, 真辺 忠夫

名古屋港湾福利厚生協会臨港病院外科, 名古屋市立大学第1外科

 頸部の鈍的外傷後に気管食道瘻を生じた1例を経験した.症例は57歳の男性.作業中に積み荷のバンドが切れたため,崩れた荷が左側頭部を直撃した.来院時,同部の割創および左顔面から頸部への挫傷が認められた.さらに意識障害,呼吸困難,喀血が見られたが,喀血は気管内挿管にて著明に減少した.第5病日に挿管チューブを抜去したが,その直後より嚥下性の咳嗽が認められた.頸部CT検査および食道造影にて気管食道瘻と診断した.受傷11か月後に手術を施行,瘻孔は第4~6気管軟骨の部位に存在し,大きさは長径約1.3 cmであった.瘻孔離断後,気管は4-0 PDSIIによる1層縫合を,食道は3-0 vicrylによる2層縫合を行い修復した.気管,食道間に有茎筋を介在しなかったが,術後経過は良好で現在まで再疎通はない.

索引用語
tracheoesophageal fistula, blunt trauma, cervical trauma

日消外会誌 31: 940-944, 1998

別刷請求先
保里 惠一 〒470-2404 愛知県知多郡美浜町大字河和字西谷81-6 知多厚生病院外科

受理年月日
1997年12月3日

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