症例報告
総胆管原発悪性リンパ腫の1例
永野 靖彦1)3), 阿部 哲夫1), 伊藤 契1), 古嶋 薫1), 石原 敬夫1), 平塚 素子2)4), 深山 正久2)5)
関東逓信病院外科1), 同 病理診断科2), 国立伊東温泉病院外科3), 新潟大学第2病理4), 自治医科大学病理5)
症例は70歳の男性.他院に高血圧で受診中,血中胆道系酵素の異常高値を指摘され,当院へ紹介された.US,CTにて肝内胆管の拡張と膵頭部背側に3 cm大の腫瘤様病変を認めた.ERPでは膵頭部Santorini管合流部付近で主膵管の屈曲,狭窄を認めた.MR-Cholangiographyでは肝内胆管,総肝管の拡張を認め,下部総胆管がV字型に狭窄し2 cmにわたり閉塞していた.腹部血管造影では膵頭部に相当する位置に2×1 cmの濃染像を認めた.以上の所見から膵頭部悪性腫瘍と考え膵頭十二指腸切除術を施行した.病理学的に総胆管原発のmalignant lymphoma,follicular mixed cell type with B cell natureと診断した.術後3年再発兆候は見られていない.胆管原発の悪性リンパ腫の報告は,1982年のNguyenの報告以来,本症例で5例目である.
索引用語
malignant lymphoma, common bile duct
別刷請求先
永野 靖彦 〒414-0054 伊東市鎌田222 国立伊東温泉病院外科
受理年月日
1997年12月3日
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