症例報告
門脈ガス血症を伴った急性上腸間膜動脈閉塞症の1救命例
菅原 俊道, 岡田 伸之, 鈴木 克, 亀井 真理, 佐藤 雅夫, 後藤 英雄*
岩手県立宮古病院外科, 同 放射線科*
門脈ガス血症を伴った上腸間膜動脈閉塞症の予後は非常に不良で,本邦での救命例は過去に3例の報告があるにすぎない.我々も同様の症例を経験し,救命しえたので報告する.
症例は発作性心房細動の既往をもつ71歳の男性で,突然の激しい上腹部痛にて発症した.腹部CTにて門脈内ガス像を認め,発症後約32時間で開腹手術を施行.手術所見は空腸から横行結腸に至る広範な腸管壊死を認め,壊死部位をすべて切除し端端吻合した.残存小腸は約24 cmの空腸のみであった.切除標本では,粘膜下層に空胞を認め,腸管気腫症の所見を認めた.術後経過は比較的順調であった.
門脈ガス血症は腸管壊死に随伴した場合非常に予後不良であるため,腹膜炎を伴った症例で本症を認めた場合は直ちに開腹手術を施行すべきである.
索引用語
hepatic portal venous gas, superior mesenteric artery occlusion
別刷請求先
菅原 俊道 〒027-0096 宮古市崎鍬ケ崎1-11-26 岩手県立宮古病院外科
受理年月日
1998年1月14日
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