症例報告
穿孔をきたし緊急開腹術を施行した小腸悪性リンパ腫の2例
小林 真一郎, 小山 拡史, 竹内 一実, 高階 謙一郎, 川上 定男, 藤田 佳宏
市立福知山市民病院外科
最近,われわれは穿孔を来し,緊急開腹術を施行した小腸悪性リンパ腫の2例を経験したので報告する.症例1は37歳の女性.右下腹部痛を主訴に受診し,急性腹症にて手術を要した.開腹時,穿孔を伴う回腸末端の悪性リンパ腫と考えられ,回盲部切除を施行した.術後の全身精査にてstage IVであり,腸間膜リンパ節が残存する非治癒切除であったため,術後化学療法を併用したが奏効せず,術後11か月目に死亡した.症例2は71歳の男性.下腹部痛を主訴に受診した.腹部X線写真上free airを認め,緊急開腹を施行した.回腸末端に穿孔を伴う腫瘤性病変を認めたので回盲部切除が施行された.術後検索の結果,小腸原発悪性リンパ腫stage IIIであった.術後化学療法が著効し,術後10か月経過した現在も再発徴候なく健在である.以上より病期と化学療法の成否が予後を大きく左右すると考えられた.
索引用語
malignant lymphoma of small intestine, perforation
別刷請求先
小林真一郎 〒602-0841 京都市上京区川原町通広小路上ル梶井町465 京都府立医科大学第1外科学教室
受理年月日
1997年12月3日
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