特集
早期胃癌に対する腹腔鏡下胃内手術―その適応と手技ならびに臨床成績について―
大橋 秀一, 谷口 英治, 瀧口 修司, 折山 毅*, 神野 浩樹*
大阪大学内視鏡外科, 宝塚市立病院外科*
早期胃癌に対する腹腔鏡下手術の1つとして,われわれが開発した腹腔鏡下胃内手術の手技と最近4年間の成績を報告し,その適応と術式の工夫などについても考察した.対象は早期胃癌21例(m癌15例,sm癌6例)で,男17例・女4例,平均年齢は71.4歳である.適応は当初高齢者ならびに開腹術拒否者の早期癌としていたが,最近では次第に適応を拡大しつつある.術中トラブルで2例開腹移行したが,重篤な術後合併症はみられなかった.m癌症例では全例とも再発を認めていない.sm癌症例2例に局所再発を認めたが,これらは開腹術拒否者と高齢者であり,内視鏡的レーザー焼灼にて経過観察中である.本法の最も良い適応は,内視鏡的粘膜切除術(EMR)が技術的に困難な高分化型のm癌であるが,高齢者など大きな侵襲を避けたい症例では,sm浸潤の疑われる症例でも適応になると考えている.今後,本法は早期胃癌に対する治療選択の1つとして,有用な術式になると期待される.
索引用語
laparoscopic intra-gastric surgery, endo-luminal surgery, early gastric cancer
日消外会誌 31: 1020-1023, 1998
別刷請求先
大橋 秀一 〒565-0871 吹田市山田丘2-2 大阪大学医学部内視鏡外科学講座
受理年月日
1997年12月3日
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