特集
大腸癌に対する腹腔鏡下手術の根治性とminimally invasive surgeryとしての評価
筒井 光広, 佐々木 壽英, 田中 乙雄, 梨本 篤, 土屋 嘉昭, 牧野 春彦
新潟県立がんセンター外科
大腸癌腹腔鏡下手術例71例を対象として,根治性とminimally invasive surgeryとしての評価を行った.最長観察期間は51か月で,24か月以上の観察例は42例である.腹腔鏡下郭清は59例(D1が16例,D2が26例,D3が17例)に行われた.すべての結腸癌で腹腔鏡下D2郭清が可能であり,回結腸動脈と下腸間膜動脈の根部では開腹手術と同等のD3郭清が可能であった.リンパ節転移は9例にみられたが,3例では腹腔鏡下超音波検査により1群のリンパ節腫大を確認してD3郭清が行われた.全例が根治度Aの治癒切除例であり,再発はみられていない.退院後から社会復帰までに要した自宅療養期間は,腹腔鏡補助下切除群(n=36)では1~39日,平均14日間であったのに対して,通常開腹群(n=14)では14~90日間,平均31日間であった(p<0.0001).大腸癌の腹腔鏡下切除はリンパ節転移例に対しても根治性が保たれているだけでなく,社会復帰が早いことから十分評価できる術式である.
索引用語
colorectal cancer, laparoscopic surgery, laparoscopic ultrasonography
日消外会誌 31: 1033-1037, 1998
別刷請求先
筒井 光広 〒951-8133 新潟市川岸町2-15-3 新潟県立がんセンター外科
受理年月日
1997年12月3日
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