特集
大腸癌に対するminimally invasive surgery の適応と成績
宮島 伸宜, 山川 達郎
帝京大学医学部附属溝口病院外科
当科において105例の大腸疾患に対して腹腔鏡下手術を施行した.この内,悪性疾患は81例,77.1%を占めている.腫瘍占居部位は盲腸が5例,上行結腸5例,横行結腸10例,下行結腸4例,S状結腸39例,直腸18例であった.リンパ節郭清に関してはD0~D1郭清が31例,D2郭清が19例,D3郭清が31例に施行された.腹腔鏡下に郭清されたリンパ節の個数は通常の開腹手術と差はなかった.術後の回復は良好で,鎮痛剤の投与回数,胃管抜去までの日数,歩行開始までの日数はいずれも通常の開腹手術よりも少なかった.腹腔鏡下手術開始当初は中結腸動脈根部の郭清は小開腹して直視下で行っていたが,手技の向上や手術器具の発達により,現在では体腔内で行うことが可能になった.したがって,大腸癌に対する腹腔鏡下手術は通常の開腹手術と遜色ない手術を行うことが可能であり,他臓器浸潤のない進行癌では適応になりうると考えられた.
索引用語
laparoscopic surgery, colorectal carcinoma, minimally invasive surgery
日消外会誌 31: 1038-1042, 1998
別刷請求先
宮島 伸宜 〒213-8507 川崎市高津区溝口3-8-3 帝京大学医学部附属溝口病院外科
受理年月日
1997年12月3日
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