膵頭十二指腸切除術における予防的投与抗菌薬の終了時期判定―SIRSに準じた簡便な指標―

畝村　泰樹, 藤岡　秀一, 田辺　義明, 鈴木　旦麿, 三澤　健之, 藤田　哲二, 小林　進, 山崎　洋次

東京慈恵会医科大学外科

　膵頭十二指腸切除周術期に投与される予防的投与抗菌薬（予防薬）の終了・変更の判定のために，SIRSの診断基準に準じた術後病状判別法を用い検討した．過去5年間に施行された膵頭十二指腸切除38例の術後感染性合併症は42％に発症し，うち予防薬無効の早期感染例は16％であった．起炎菌は投与薬剤に耐性を有し無効であった．第3，4，5病日での判別法陽性例は32，18，23％であり，うち25，60，63％に感染を発症した．第3，4病日の判別法陽性例では手術侵襲や無気肺を陽性原因とするものが多かった．第5病日の判別陰性例では96％に早期の感染を来さず，第5病日での正診率は0.89であった．以上より第5病日に判別法陰性であれば早期感染性合併症は予防できたと考えられる．予防薬投与はこの時点で終了すべきであり，陽性であれば感染の発症を想定し治療薬に変更することが妥当である．

索引用語
pancreatoduodenectomy, systemic inflammatory response syndrome, surgical infection, antibiotics, prediction of postoperative infection

別刷請求先
畝村　泰樹　〒105-8461　港区西新橋3-25-8　東京慈恵会医科大学外科学講座第1

受理年月日
1998年1月14日

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