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第31巻 第5号 1998年5月 [目次] [全文 ( PDF 484KB)]
症例報告

Bouveret's Syndromeで発症した胆石イレウスの1例

中里 雄一, 羽生 信義, 成瀬 勝, 大平 洋一**, 鳥海 弥寿雄, 中山 一彦, 小野 雅史, 宮川 朗, 稲垣 芳則, 青木 照明

東京慈恵会医科大学外科, 社会保険桜ケ丘清水病院外科, 富士市立中央病院外科**

 症例は85歳の女性.嘔吐を主訴に近医を受診し,幽門狭窄の診断で紹介入院となった.貧血(-),黄疸(-),発熱(-),上腹部膨満および右季肋部に圧痛あり.胃内視鏡検査で黒緑色結石により幽門が閉塞していた.腹部ECHOでは胆嚢壁の肥厚と,肝内胆管から胆嚢内のpneumobiliaを認めた.腹部CTでは十二指腸球部内に4 cm大球形結石像を認めた.上部消化管造影X線検査では胆嚢十二指腸瘻と球部内の4 cm大の陰影欠損を認めた.以上より球部に結石が嵌頓したBouveret's syndromeの診断で手術を施行した.手術所見は萎縮胆嚢と十二指腸球部が瘻孔を形成し,4 cm大の結石を球部に認めた.瘻孔は8 mm大で瘻孔を長軸方向に延長して結石を摘出し,Heineke-Mikuliz形式で縫合閉鎖した.胆石イレウスで十二指腸球部に結石が嵌頓して発症するBouveret's syndromeの本邦報告例は,過去21年間に自験例を含め12例であった.

索引用語
Bouveret's syndrome, gallstone ileus, cholelithiasis

日消外会誌 31: 1107-1111, 1998

別刷請求先
中里 雄一 〒105-0003 東京都港区西新橋3-25-8 東京慈恵会医科大学外科学講座第2

受理年月日
1998年2月12日

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