症例報告
C型肝硬変に合併した末梢型細小胆管細胞癌の1切除例
倉地 清隆, 長嶋 孝昌, 水上 泰延, 生田 宏次, 近松 英二, 大平 周作
遠州総合病院外科
症例は67歳の男性.肝機能障害を指摘され,精査目的で入院となった.入院後にC型肝硬変と診断し,腹部超音波検査で肝右葉後区域に直径20 mm,類円形で内部はiso~hypoechoicな腫瘤を認めた.腹部単純CTでは低吸収域として描出され,造影CTでは不整形で内部均一に造影された.腹腔動脈造影では動脈相より肝右葉後上区域末梢に腫瘍濃染像を認めた.画像と臨床経過から肝細胞癌が疑われたが,針生検では胆管細胞癌と診断された.肝S6部分切除術を施行し,腫瘍は径15×20 mmの乳白色調結節性病変であり,病理組織学的には中分化型管状腺癌であった.非腫瘍部は乙型肝硬変であった.術後16か月経過した現在,再発なく健在である.
一般に胆管細胞癌は典型的な症状や特異的な徴候に乏しく,早期に診断することは極めて困難である.末梢型細小胆管細胞癌の本邦報告例は16例であり,特にC型肝硬変のみに合併した報告例は本例が初例である.
索引用語
minute (small) cholangiocellular carcinoma, HCV-positive liver cirrhosis, intrahepatic bile duct carcinoma
日消外会誌 31: 1112-1116, 1998
別刷請求先
倉地 清隆 〒430-0917 浜松市常盤町144-6 遠州総合病院外科
受理年月日
1998年1月14日
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