症例報告
尾状葉原発の胆管内発育型胆管細胞癌の1切除例
待木 雄一, 重田 英隆, 高山 哲夫*, 酒井 雄三*, 近藤 哲**
国保坂下病院外科, 同 内科*, 春日井市民病院外科**
胆管内発育型胆管細胞癌の報告は非常にまれであり,その1切除例を経験したので報告する.症例は65歳女性.閉塞性黄疸にて来院し,経皮経肝胆道ドレナージ術を施行した.胆管像では乳頭状の陰影欠損によって肝門部胆管は閉塞し,腹部CTでは右尾状葉から右葉後区域にかけて径30 mmの腫瘍を認めた.経皮経肝胆道鏡検査では右肝管から総肝管まで伸びる乳頭状腫瘍を認め,生検にて腺癌の診断を得た.経皮経肝門脈造影では門脈右枝は左右分岐部直後で閉塞していた.術前の癌進展度診断により,右尾状葉から発生した胆管内発育型胆管細胞癌と診断し,肝右葉切除,尾状葉全切除,胆管切除,下大静脈合併切除を施行した.
本疾患の鑑別診断には経皮経肝胆道鏡検査による胆管内腫瘍の診断が有用であった.また,手術術式決定の上では胆管内腫瘍と主腫瘍の存在,部位,進展範囲,進展様式の診断が重要であった.
索引用語
cholangiocellular carcinoma, caudate lobe, intraluminal growth in the blle duct
日消外会誌 31: 1117-1121, 1998
別刷請求先
待木 雄一 〒376-0024 桐生市織姫町6-3 桐生厚生総合病院外科
受理年月日
1998年1月14日
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