逆流性食道炎に対する腹腔鏡下Nissen噴門形成術の短期治療成績

小村　伸朗, 柏木　秀幸, 青木　照明, 森永　泰良^＊

東京慈恵会医科大学外科, 医療法人社団エターナルウッド会森永胃腸科外科^＊

　逆流性食道炎10症例に対して，腹腔鏡下Nissen噴門形成術を施行し，その短期治療成績を検討した．手術時間は196.0±55分，経鼻胃管挿入日数は1.2±0.4日，食事開始時期は3.3±0.8日，術後在院日数は20.4±0.8日であり，術後観察期間は平均1年3か月（4か月～3年1か月）であった．食道炎は全例で治癒し，1例を除き滑脱型食道裂孔ヘルニアも完全に修復された．また食道内酸曝露時間も著明に短縮し，2例を除き正常となった．術前の胸やけを中心とする症状は1例を除きすべて消失した．術後の嚥下障害は噴門部のcalibrationを施行しなかった1例で認められ，再手術を必要とした．以上より，逆流性食道炎に対する腹腔鏡下Nissen噴門形成術の短期治療成績は良好であったが，手術手技として食道ブジーを使用するfloppy Nissen法にすることが術後の愁訴をもたらさないためにも重要であると考えられた．

索引用語
reflux esophagitis, Nissen fundoplication, laparoscopic surgery, short-term results of laparoscopic Nissen fundoplication

別刷請求先
小村　伸朗　〒105-8461　東京都港区西新橋3-25-8　東京慈恵会医科大学外科学講座第二

受理年月日
1998年3月11日

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