原著
黄疸肝切除における術前減黄の有用性に関する実験的検討
青木 秀樹
防衛医科大学校第1外科
黄疸肝切除における術前減黄の有用性についてラットを用いて実験的検討を行った.まず,減黄の有無および長短による肝切除前後の肝機能,肝切除後の肝エネルギー代謝・肝再生能への影響を検討した.その結果,エネルギー代謝は術前減黄なしの場合有意に低下し,肝再生能は減黄期間の延長とともに有意な改善を認めた.しかし,術前減黄の問題点として胆道感染が挙げられた.そこで,減黄時に排泄胆汁を十二指腸に再投与して生理的な状態にすることが胆汁分泌動態や肝再生能,細菌感染などにどう影響するかを検討した.その結果,細菌陽性率には有意差は認めなかったが,胆汁再投与群では非投与群に比べて胆汁流量やビリルビン排泄量は有意に増加し,減黄効果も促進され,肝再生も良好であった.以上より,黄疸肝切除において術前減黄は不可欠であり,その際に排泄胆汁を再投与して肝再生に対して有利な状態にすることは,術後肝不全予防に有意義であると考えられた.
索引用語
obstructive jaundice, biliary drainage, bile refeeding, hepatectomy
日消外会誌 31: 1756-1766, 1998
別刷請求先
青木 秀樹 〒736-0053 広島県安芸郡海田町寿町2-1 第13師団司令部医務官室
受理年月日
1998年3月11日
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