症例報告
横行結腸粘膜下腫瘍の形態を呈したmesenteric fibromatosisの1例
太田 岳洋, 松山 秀樹*, 増田 浩*, 手塚 秀夫*, 杉山 勇治*, 丸山 千文
東京女子医科大学消化器病センター外科, 板橋中央総合病院外科*
症例は69歳の男性.腹部腫瘤を自覚し来院.US,CT,MRI検査で臍部腹壁直下に径4 cmの腫瘤を認め,注腸造影,大腸内視鏡検査で横行結腸の粘膜下腫瘍として手術を施行した.腫瘤は45×40×30 mm大,弾性硬で小腸間膜より横行結腸粘膜下へ浸潤し,横行結腸と腸間膜を含めた小腸の部分切除を施行した.病理にてfibromatosisの診断であった.Mesenteric fibromatosisは腹部手術の既往やGardner症候群に合併して発生することが知られているが,単独発生はまれとされ,本邦における単独発生の報告は自験例も含め14例であった.本腫瘍は良性疾患であるが浸潤性発育のため局所再発が多く,特にGardner症候群に合併した症例は予後不良とされる.しかし,単独発生例では比較的再発も少ないと報告されており,本症例も再発の徴候なく1年10か月健在である.
索引用語
mesenteric fibromatosis, desmoid tumor, submucosal tumor of the colon
日消外会誌 31: 1811-1815, 1998
別刷請求先
太田 岳洋 〒162-8666 東京都新宿区河田町8-1 東京女子医科大学附属消化器病センター外科
受理年月日
1998年2月12日
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