症例報告
術前診断しえたS状結腸間膜内ヘルニアの1例
五十嵐 章, 奥田 康一, 西脇 真, 辻塚 一幸, 清野 徳彦, 住山 正男
浜松赤十字病院外科
症例は60歳の男性.腹部膨満,左下腹部痛を主訴に来院.腹部手術,外傷などの既往はなく,腹部X線でniveauを認めイレウスの診断で入院となった.イレウス管を挿入し保存的治療を試みるも症状軽快せず,イレウス管造影と注腸造影を同時に施行したところS状結腸ループ内に回腸の先細り完全閉塞像を認めた.また,腹部CT上S状結膜間膜と思われる部分に回腸の狭窄部を認めた.以上よりS状結腸間膜による内ヘルニアと診断し手術を施行した.回盲部から約100 cmの回腸約7.5 cmがS状結腸間膜右葉の裂孔に嵌入していた.嵌頓腸管は用手的に整復され,腸管切除は行わずヘルニア門のみを縫合閉鎖した.S状結腸間膜による内ヘルニアは,本邦報告例は自験例を含め22例にすぎない.そのなかでS状結腸間膜内ヘルニアは,本例が11例目であり,術前診断しえたのは初めてであった.
索引用語
intramesosigmoid hernia, ileus
日消外会誌 31: 1816-1820, 1998
別刷請求先
五十嵐 章 〒430-0907 浜松市高林1-5-30 浜松赤十字病院外科
受理年月日
1998年2月12日
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