原著
消化器癌患者の周術期における単球の表面抗原HLA-DR,CD11bと血中サイトカインIL-6,IL-8の変動に関する研究
中瀬 一, 河野 浩二, 関川 敬義, 飯塚 秀彦, 松本 由朗
山梨医科大学第1外科
消化器癌患者の周術期における免疫能の変動を,単球表面抗原と血清サイトカインをパラメーターとして検討した.胃癌群(23例),食道癌群(右開胸開腹術,8例),膵癌群(膵頭十二指腸切除術,7例),大腸癌群(10例)を対象に,術前および術後1,3,5,7,14日目の末梢血単球表面抗原HLA-DR,およびCD11bのmean fluorescence intensity(MFI)をフローサイトメトリーにて,また血清IL-6,IL-8,IFN-γ値をELISA法によって測定した.食道癌群のCD11b発現は,他群に比べ術後低下したまま回復せず,IL-8値は術前より全経過を通じて高値を示した.膵癌群ではCD11b発現は術後一時的に上昇したが,術後14日目に食道癌群と同様に低値を示した.食道癌や膵癌に対する侵襲の大きな手術においては,単球の接着に関与するCD11bの発現低下が認められ,高サイトカイン血症の病態において,単球機能の変化が大きく関与していると思われた.
索引用語
immunosuppressive state of cancer patients, surgical stress, monocyte surface antigen, expression of CD11b on monocytes, serum IL-8 level
日消外会誌 31: 1862-1868, 1998
別刷請求先
中瀬 一 〒409-3821 山梨県中巨摩郡玉穂町下河東1110 山梨医科大学第1外科学教室
受理年月日
1998年4月22日
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