症例報告
膵胆管合流異常を伴った胆嚢腺扁平上皮癌の1例
足立 淳, 年光 宏明, 佐伯 俊宏, 内山 哲史, 村上 卓夫
岩国市医療センター医師会病院外科
膵胆管合流異常に合併した胆嚢腺扇平上皮癌症例を経験したので報告する.症例は67歳の女性.上腹部痛を主訴とし,血液検査では肝酵素異常を示すのみであった.腹部US,CT,MRIで胆嚢体部に内腔に突出する腫瘍を認めた.ERCPでは新古味分類IIbの膵胆管合流異常があり,肝外胆道,胆嚢管の拡張を認めた.術中の胆嚢内,胆道内胆汁細胞診にて腺扁平上皮癌の診断を得,リンパ節郭清を伴う膵胆管合流部から肝門部の胆管切除,肝床切除を伴う胆嚢摘出,胆管空腸吻合を施行した.腫瘍はGb,hep,結節浸潤型で,病理組織ではss,hinf1α,binf0,t2,bm0,hm0,em0,n1(+),stage 2,中分化型の腺扁平上皮癌であった.そして,腺癌と深部の扁平上皮癌の間に移行像を認め,扁平上皮癌化生説を支持するものであった.また,転移リンパ節は,ほとんどが扁平上皮癌であり,予後不良を予感させた.胆管内のamylaseは高値を示し,胆嚢癌発生の1因と考えられた.
索引用語
adenosquamous carcinoma, anomalous arrangement of the pancreaticobiliary ductal system, gallbladder cancer
日消外会誌 31: 1879-1883, 1998
別刷請求先
足立 淳 〒740-0021 岩国市室の木町3-6-12 岩国市医療センター医師会病院
受理年月日
1998年4月22日
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