症例報告
腸間膜脂肪織炎の1例
山口 健太郎, 勝部 隆男, 土屋 玲, 遠藤 俊吾, 島川 武, 加藤 博之, 成高 義彦, 芳賀 駿介, 小川 健治, 梶原 哲郎
東京女子医科大学附属第二病院外科
症例は83歳の男性.腹痛と発熱を主訴に来院した.腹部CT検査にて腸間膜のdensityの上昇と,その内部にhigh densityな索状影を認めた.腸間膜脂肪織炎を疑うも,腹膜刺激症状が強く認められたため,汎発性腹膜炎の診断で開腹した.小腸間膜のほぼ全域に肥厚を認め,小腸の血行障害も認められた.術中,腸間膜脂肪織炎と判断し,小腸間膜の減張切開,生検および腹腔ドレナージ後閉腹した.病理組織学検査でも腸間膜脂肪織炎の診断であった.術後第1病日よりステロイドを投与し,腹部症状の改善とCRPの低下を認めた.また自験例では経時的に腹部CT画像を観察し,この疾患に特徴的と思われる腸間膜のdensityの上昇と,症状改善に伴うdensityおよびvolumeの正常化が認められたので,併せて報告した.
索引用語
mesenteric panniculitis, CT, steroid
日消外会誌 31: 1889-1892, 1998
別刷請求先
山口健太郎 〒160-0011 東京都荒川区西尾久2-1-10 東京女子医科大学附属第二病院外科
受理年月日
1998年3月11日
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