症例報告
妊娠15週齢妊婦に発症した虫垂憩室炎の1例
織畑 道宏, 佐々木 秀雄, 畑 真, 中川 浩之, 掛川 暉夫, 佐川 文明*
国際親善総合病院外科, 昭和大学藤が丘病院病理科*
妊娠中の虫垂炎も虫垂憩室も比較的まれな疾患で,妊娠中の虫垂炎は診断と治療に注意を要する.われわれは,妊娠15週に虫垂憩室炎を発症した1例を経験した.症例は,28歳の女性.右下腹部痛を主訴に来院.妊娠15週であったが,WBC 17,100/µl,CRP 2.9 mg/dlと高く,妊娠中の虫垂炎の診断で入院となった.超音波上胎児に異常は認められず同日虫垂切除術を行った.虫垂は後腹膜に腫瘤を形成していた.摘出虫垂は先端がふたつに分かれ,虫垂の先端2/3に小さな憩室を全周性に多数認めた.病理組織学的に仮性憩室と診断された.その後妊娠30週で早産となった.検索しえた本邦の虫垂憩室の手術切除例は自験例を含め113例で,妊娠中の虫垂憩室炎は自験例が初めてであった.
索引用語
appendicitis, pregnancy, appendiceal diverticulum
日消外会誌 31: 1893-1896, 1998
別刷請求先
織畑 道宏 〒245-0006 横浜市泉区西が岡1-28-1 国際親善総合病院外科
受理年月日
1998年4月22日
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