卒後教育セミナー
食道癌の術後補助療法
山名 秀明
久留米大学外科
厚生省がん研究助成金「固形がんの集学的治療の研究」班の食道グループでは,第3次研究として術後放射線治療(50 GyのT字射)と術後化学療法(cisplatin/vindesine,CDDP/VDS)の無作為比較試験(RCT)を行ったが,両群の予後に差を認めなかった.そこで次の第4次研究では手術単独群と術後化学療法群(CDDP/VDS)のRCTを施行したが,本研究でも両群の予後に差を認めなかった.しかし,リンパ節転移陽性例では化学療法群の生存曲線が良好な傾向(p=0.134)を示し,奏功率の高い薬剤を使用すると予後が向上する可能性が示唆された.またリンパ節転移陰例では,予防的化学療法の必要性はないと考えられた.一方,adhesive tumor cell culture system法によるin vitro抗癌剤感受性試験の多施設共同研究を行ったが,本試験と臨床効果との相関性は認めなかった.
索引用語
esophageal carcinoma, randomized controlled study, chemotherapy
日消外会誌 31: 1930-1935, 1998
別刷請求先
山名 秀明 〒830-0011 久留米市旭町67 久留米大学医学部外科
受理年月日
1998年5月19日
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