卒後教育セミナー
胃癌の術後補助化学療法
久保田 哲朗
慶應義塾大学医学部外科学教室
胃癌の化学療法感受性は低く,各薬剤の奏効率は単剤で20%程度で,多剤併用においても40%程度に留まっている.胃癌の補助化学療法の生存期間延長については欧米では否定的なmeta-analysisが報告されているが,本邦では肯定的な成績も多い.われわれは胃癌補助化学療法の選択に抗癌剤感受性試験が有用であることをretrospective studyにおいて見い出し,特に無効抗癌剤の投与には手術単独群と比較して予後の延長効果が認められないことを明らかにした.さらにblind法による多施設共同研究において,同一化学療法で治療された抗癌剤感受性群の予後は低感受性群よりも推計学的に有意に良好であることを示した.胃癌補助化学療法の選択には抗癌剤感受性試験が有用である.
索引用語
gastric cancer, adjuvant chemotherapy, MTT assay
日消外会誌 31: 1936-1940, 1998
別刷請求先
久保田哲朗 〒160-8582 東京都新宿区信濃町35 慶應義塾大学医学部外科
受理年月日
1998年5月19日
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