卒後教育セミナー
膵・胆道癌の術後補助療法
高田 忠敬
帝京大学第1外科
膵癌の術後補助療法は欧米では化学・放射線療法が一般的であり,局所制御には有用であるとの見解が多いが,遠隔成績の明らかな改善は証明されていない.術後肝局所療法も有望な治療のひとつであるが,最近,欧米では術前,術中の外科補助療法の有用性を問うプロトコールが進行中である.胆道癌の術後補助療法については,放射線療法の有用性が散見される程度である.日本膵・胆道癌外科補助療法研究会の切除例における無作為比較試験の成績では,非治癒切除胆のう癌で全身化学療法による生存期間の改善を認めたが,膵,胆管癌では認めていない.この成績は非切除例のFAM療法により胆のう癌に病勢抑制が確認された結果に通ずるところがある.CD-DSTによる膵・胆道癌16例の薬剤感受性試験の結果では全例primary cultureに成功し,5-FU,MMC,ADRの感受性が高く,膵癌よりも胆道癌で有効判定率が高い傾向であった.現在症例を追加し,臨床効果との相関を検討中である.
索引用語
postoperative adjuvant therapy, pancreatic and biliary tract carcinoma, collagen gel droplet embedded culture drug sensitivity test
日消外会誌 31: 1947-1952, 1998
別刷請求先
高田 忠敬 〒173-8605 東京都板橋区加賀2-11-1 帝京大学医学部第1外科
受理年月日
1998年5月19日
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