症例報告
胆嚢炎に併発したspontaneous bilomaの1例
加藤 泰規, 濱田 吉則, 毛利 隆, 日置 紘士郎
関西医科大学第2外科
外傷,医療行為など外作用に伴なわず発症するbilomaはspontaneous bilomaと分類される.今回,我々は胆嚢炎に合併したspontaneous biloma(本症)の1例を経験したので報告する.症例は53歳の女性で,発熱と心窩部痛を初発症状とし,腹部CT,腹部超音波にて胆嚢の腫大と肝左葉下面に15×7.5×5.0大の嚢胞性病変を認めた.手術にて胆嚢炎と線維化したbilomaと診断した.Bilomaの内容は,ゲル状無構造で黄緑色調を呈しており,組織学的にフィブリン塊であった.本症は本邦で,自験例を含め23例の報告がある.本症は胆嚢,胆管結石による胆道内圧上昇によるものが多いが,本症例は胆嚢頸部の炎症性閉塞による胆嚢内圧上昇を主因とし発症したと思われた.
索引用語
spontaneous biloma, cholecystitis, spiral-computed tomography
日消外会誌 31: 2001-2005, 1998
別刷請求先
加藤 泰規 〒570-8507 守口市文園町10-15 関西医科大学第2外科
受理年月日
1998年4月22日
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