症例報告
膵頭部動静脈奇形の1例
鈴木 修司, 羽生 富士夫, 田中 精一, 今里 雅之, 武雄 康悦, 寺本 穂波, 古賀 友之, 林 恒男, 高崎 健*
八王子消化器病院, 東京女子医科大学消化器外科*
膵動静脈奇形は非常にまれな疾患で,外科的切除にて根治できた1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.症例は49歳の男性,心窩部痛,背部痛を主訴に当院受診し,疼痛の増悪を認めたため入院となった.入院後超音波検査にて膵頭部に低エコー域を認め,ドップラーエコーにて同部に拍動性の速い血流を認めた.MRCPにて総胆管末端の狭窄を認めたため,ERCPを施行し,胆道出血と総胆管末端の狭窄を確認した.またdynamic CTでは膵頭部に蛇行した血管の増生と同時相の門脈早期濃染を認めた.腹部血管造影検査では動脈相早期より膵頭部に網状新生血管が描出され,門脈の早期描出も認めたことから,膵頭部動静脈奇形と診断し,疼痛除去と胆管狭窄改善目的に全胃幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理標本においても拡張した細動静脈を認めた.術後経過は良好であり,疼痛も完全に除去することができた.
索引用語
pancreatic arteriovenous malformation, magnetic resonance cholangiopancreatography, doppler ultrasonography
日消外会誌 31: 2006-2010, 1998
別刷請求先
鈴木 修司 〒192-0904 八王子市子安3-18-1 八王子消化器病院
受理年月日
1998年4月22日
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