原著
胃腺扁平上皮癌の臨床的特徴と免疫組織化学的検討―癌細胞増殖活性(PCNA),アポトーシス,p53変異,CD44,および腫瘍内血管数(CD34)の比較検討―
仁木 正己, 磯崎 博司, 藤井 敬三, 野村 栄治, 馬渕 秀明, 中村 素行, 西口 完二, 谷川 允彦
大阪医科大学一般・消化器外科
胃腺扁平上皮癌(以下,本症)の特徴を検索する目的で,本症を対象として一般型進行胃癌症例(以下,一般型)と比較検討した.まず両者を臨床的に比較し,PCNA,Apoptotic cell,p53,CD44,CD34の発現状態を免疫組織化学的に検討した.臨床的に本症では肝転移率が高く,Stageの高い症例の多いことが特徴であり,その予後は一般型に比べて有意に不良であった.本症のPCNA陽性細胞率は一般型に比べて有意に高値であり,Apoptotic lndexは一般型より有意に低率であった.p53,CD44発現陽性率は本症ではいずれも一般型に比ベて有意に高率であり,発現陽性例では両癌成分ともに同等に発現していた.さらに,腫瘍内血管密度の検索では,本症は一般型に比べて有意に高値であった.今回の検討から,本症は増殖活性が高く,p53などの遺伝子異常が蓄積され,アポトーシス活性が低く,進展過程で豊富な新生血管が生じて癌細胞が転移しやすい状況を形成している可能性が示唆された.
索引用語
gastric adenosquamous carcinoma, immunohistochemical staining, proliferating cell nuclear antigen, Apoptotic cell, Microvessel density
日消外会誌 31: 2046-2054, 1998
別刷請求先
仁木 正己 〒569-8686 高槻市大学町2-7 大阪医科大学一般・消化器外科
受理年月日
1998年6月10日
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