特集
松山における胃癌診療の特徴
栗田 啓, 久保 義郎, 佐伯 俊昭, 横山 伸二, 棚田 稔, 多幾山 渉, 高嶋 成光
国立病院四国がんセンター外科
松山市にある国立病院四国がんセンターにおける早期胃癌治療の現況について報告する.陥凹主体のM癌では,長径が10 mm以下で潰瘍廏痕が無い分化型癌で内視鏡下粘膜切除(以下EMR)を適応とし,それ以外のもの,20 mm以下の病巣に対して,術中N(-),n(-)を条件に腹腔鏡下あるいは開腹下胃局所切除,それをこえるものに対してはpor以外でD0胃切除,porでD2胃切除を行っている.隆起主体のM癌に対しては,20 mm以下でEMR,それをこえるものに対しては胃局所切除,残胃の高度の変形をきたすようであればD0胃切除を行っている.内視鏡部で施行したEMR 149例中5例に癌の遺残,再発がみられた.開腹下胃局所切除を17例に施行し,術後に5例にsm層にわずかに癌浸潤が認められた.腹腔鏡下胃局所切除を35例に施行,sm1が7例,sm2が3例,sm3が1例にみられた.早期胃癌の術式の適応は流動的で議論の余地を残している.
索引用語
early gastric cancer, endoscopic mucosal resection, wedge gastrectomy
日消外会誌 31: 2146-2151, 1998
別刷請求先
栗田 啓 〒790-0007 松山市堀之内13 国立病院四国がんセンター外科
受理年月日
1998年7月22日
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