特集
福岡における胃癌診療の特長:特に進行・再発癌の集学的治療と早期癌の転移再発
斉籐 貴生, 鴻江 俊治, 馬場 秀夫, 中島 秀彰, 武冨 紹信, 瀬尾 洋介, 友田 博次
国立病院九州がんセンター消化器部外科
国立病院九州がんセンターにおける1972年から1991年までの初発胃癌切除例2,146例についての治療成績の推移を述べ,最近における胃癌の治療戦略および研究,胃悪性リンパ腫についても触れた.上記20年間をI期(1972~76),II期(1977~81),III期(1982~86)およびIV期(1987~91)に分けると,5年生存率は全期で59.6%,I期49.9%,II期55.2%,III期63.1%,IV期66.3%と順次向上を示した.
同様の傾向は根治度A+BとCに分けてもみられた.Stage別5年生存率はStage Ia+Ib 89.1%,II 68.8%,IIIa+IIIb 36.1%,IVa+IVb 9.8%であった.このうちStage IとIVではI期からIV期に向い順次向上したが,Stage IIとIIIではI期からIII期まで順次向上したもののIV期で低下した.これには,他癌死の増加が関与していた.予防的D2郭清はn0早期癌の予後を向上させることが示唆され,微小リンパ節転移の関与が考えられた.
索引用語
National Kyushu Cancer Center, Fukuoka, gastric cancer, long-term survival, early gastric cancer
日消外会誌 31: 2152-2156, 1998
別刷請求先
斎藤 貴生 〒811-1347 福岡市南区野多目3-1-1 国立病院九州がんセンター消化器部外科
受理年月日
1998年7月22日
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