特集
胃癌生検組織中の転移関連遺伝子群のmRNA発現からみた脈管侵襲の術前予測
高橋 豊, Zhang Bin, 磨伊 正義
金沢大学がん研究所腫瘍外科
胃癌の脈管浸潤の意義の再評価並びにその術前予測の可能性を検討した.胃癌手術症例1,374例による検討では,ly因子とリンパ節転移と腹膜播種,v因子と肝転移との間に関係が認められた.次にly因子,v因子の術前予測を目的に,術前生検組織93例を対象に転移の分子機構から予測される理論的に脈管浸潤に必要な因子である増殖因子としてepidermal growth factor receptor(EGFR),血管新生因子としてbasic fibroblast growth factor(bFGF)とvascular endothelial growth factor(VEGF),浸潤因子としてtype IV collagenase,接着因子としてE-cadherinの転移関連遺伝子群のmRNAをIn situ hybridization(ISH)法による発現程度から検討した.その結果,ly因子ではcollagenaseとE-cadherin(減弱),v因子はcollagenaseとVEGFが単変量解析により陽性群と陰性群で有意の差を認めた.以上から,本法は胃癌の脈管浸潤の予測,ひいては転移,再発の予測に有用であると考えられた.
索引用語
lymphatic invasion, vascular invasion, metastasis-related genes
日消外会誌 31: 2167-2170, 1998
別刷請求先
高橋 豊 〒921-8044 金沢市米泉町4-86 金沢大学がん研究所外科
受理年月日
1998年7月22日
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