原著
腹部超音波検査にて診断困難であった急性虫垂炎症例の検討
木村 圭一, 井戸 弘毅, 永野 秀樹, 利光 鏡太郎
名古屋徳洲会総合病院外科
当院において過去5年間に経験した急性虫垂炎症例のうち,術前の腹部超音波検査にて虫垂炎と診断できなかった15例(偽陰性群)と虫垂炎と診断できた230例(真陽性群)とを比較検討した.両群間で年齢,性別,肥満度,術前白血球数・CRP値,術前体温には有意差が認められなかったが,虫垂外径は偽陰性群で有意に太く(14.5 mm vs 9.4 mm,p=0.0045),虫垂炎重症症例の割合は偽陰性群で有意に高かった(47% vs 20%,p=0.017).
虫垂の描出困難の理由として,虫垂が腹腔内の深い位置にあることによる腸管ガスによる障害と,壊疽や穿孔による虫垂の層構造の破壊が考えられた.症状から虫垂炎が疑われ,腹部超音波検査にて虫垂炎と診断できない場合は,腹部CTなどの腸管ガスの影響を受けない検査を行うべきであると考えられた.
索引用語
acute appendicitis, sonographic diagnosis, undetectable appendix by ultrasonography
日消外会誌 31: 2221-2225, 1998
別刷請求先
木村 圭一 〒487-0013 春日井市高蔵寺町2-28-1 名古屋徳洲会総合病院外科
受理年月日
1998年7月22日
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