症例報告
胸腔鏡下手術により切除した食道神経鞘腫の1例
中村 昭博, 伊藤 重彦, 井手 誠一郎, 田川 努, 中谷 博之, 長谷場 仁俊, 小松 英明
北九州市立八幡病院呼吸器外科
胸腔鏡下手術により切除した,きわめてまれな食道壁内神経鞘腫の1例を経験したので報告する.症例は59歳の男性.胸部CTで縦隔腫瘍を疑われ,当科へ紹介となった.胸部X線写真では,縦隔に淡い腫瘤陰影を認めた.胸部CTでは気管分岐部下に,境界明瞭,内部均一な腫瘤影がみられた.胸腔鏡下手術によりアプローチしたところ,食道筋層に覆われた腫瘤が認められた.筋層を鈍的に開排し,慎重に剥離を進め,腫瘤を摘出した.術中食道内視鏡およびリークテストを行い,食道粘膜損傷の無いことを確認した.摘出標本は,5.0×3.5×2.5 cm大の黄白色の腫瘤で,術中所見および病理組織所見より,食道壁内に原発したschwannomaと診断した.合併症なく良好に経過し,15日目に退院した.12か月後の現在,再発なく健常である.
索引用語
schwannoma of the esophagus, benign esophageal tumor, video-assisted thoracic surgery
日消外会誌 31: 2231-2234, 1998
別刷請求先
中村 昭博 〒805-0061 北九州市八幡東区西本町4-18-1 北九州市立八幡病院呼吸器外科
受理年月日
1998年7月22日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|