症例報告
胆嚢腺内分泌細胞癌の1例
横山 義信, 斎藤 文良, 津沢 豊一, 三浦 二三夫, 斎藤 寿一
斎藤胃腸病院外科
内分泌細胞性腫瘍は直腸,胃,虫垂に多く見られるが,胆嚢原発の内分泌細胞癌はきわめてまれである.今回,72歳,男性の胆嚢癌の診断で摘出された胆嚢に高分化型腺癌と内分泌細胞癌が共存した症例を経験した.腫瘍は胆嚢底部に位置し,25×20×20 mmの大きさで結節浸潤型を呈し,肝床部ヘ直接浸潤していた.また,肝転移, リンパ節転移を認めた.組織学的には高分化型腺癌と,これに混在して大小不同,異型性が強くクロマチンの豊富な核を有する小円形の腫瘍細胞が認められ,充実性または索状に増殖していた.Grimelius染色でこれら腫瘍細胞の胞体内に多数の好銀性顆粒を認め,腺内分泌細胞癌と診断した.両者は混在移行する像を有し,内分泌細胞癌の発生は腺癌の発生と密接に関わっているものと考えられた.
索引用語
adeno-endocrine cell carcinoma, gallbladder carcinoma, carcinoid
日消外会誌 31: 2250-2254, 1998
別刷請求先
横山 義信 〒997-0034 鶴岡市本町2-2-35 斎藤胃腸病院外科
受理年月日
1998年7月22日
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