症例報告
膵頭部癌が否定できず膵頭部十二指腸切除を施行したsegmental groove pancreatitisの1例
有賀 浩子, 河西 秀, 小池 秀夫, 前田 恒雄
相澤病院外科
症例は48歳の男性.腹痛と嘔吐を主訴として入院した.胃内視鏡検査で十二指腸下行脚に粘膜の発赤浮腫および狭窄があり,腹部超音波検査では膵頭部に約3 cm大の腫瘤像を認めた.膵頭部癌の十二指腸浸潤を疑ったが,腹部CT検査でlow density mass像は膵頭部外側に位置し,膵頭部に腫瘍陰影は無くERCP検査でも主膵管に異常はみられなかった.保存的治療で一時症状は軽減したが,再び嘔吐を認めた.腫瘤の増大は認めず.腹部血管造影検査で膵頭部に中心が抜け静脈相にかけて周囲が徐々に染まる像が得られ,MRI検査ではgroove領域に境界不明瞭な腫瘤像を認めた.Groove pancreatitisも疑ったが膵臓癌を完全に否定できず,膵頭十二指腸切除術を施行した.十二指腸壁から膵頭部にかけて高度な繊維化を認め,segmental groove pancreatitisと診断した.術後経過良好で約1か月後に退院した.Groove pancreatitisは,自験例を含め本邦で26例の報告がある.
索引用語
groove pancreatitis, obstruction of the Santorini's duct
日消外会誌 31: 2255-2259, 1998
別刷請求先
有賀 浩子 〒390-8510 松本市本庄2-5-1 相澤病院外科
受理年月日
1998年7月22日
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