症例報告
大腸癌異時性副腎転移の1切除例
河合 徹, 服部 龍夫, 小林 陽一郎, 宮田 完志, 深田 伸二, 湯浅 典博, 林 祐次, 江畑 智希, 瀬古 浩, 鷲津 潤爾
名古屋第一赤十字病院外科
症例は67歳の男性.1994年6月21日S状結腸癌にてS状結腸切除を施行した.肉眼所見では2型,22×16 mm,SE,P0,H0,M(-),組織学的には低分化腺癌,se,ly2,V1,n4(+),stage IVで大動脈周囲リンパ節に転移を認めたが根治度Bであった.術後1年4か月に腹部CTにて右副腎に直径約5 cmの低吸収域を認めたが,画像上,肺,肝,骨には転移所見を認めず単独副腎転移と診断し右副腎摘出を行った.腫瘍は65×45×30 mmで硬く,割面は黄白色充実性であり,病理組織学的にS状結腸癌と同様の病理所見を呈しており副腎転移と診断された.副腎摘出1年1か月後腹部CT,骨シンチグラフィーにて大動脈周囲リンパ節再発,胸椎転移を認め,さらに7か月後,下行結腸癌を合併し切除したが術後肺炎のため死亡した.臨床的に大腸癌副腎転移例は全身諸臓器に転移を伴う例が多いが,他の転移巣が無いか,あるいはコントロールできる場合には切除の適応がある.
索引用語
colon cancer, adrenal metastasis, adrenalectomy
日消外会誌 31: 2275-2279, 1998
別刷請求先
河合 徹 〒453-0046 名古屋市中村区道下町3-35 名古屋第一赤十字病院外科
受理年月日
1998年7月22日
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